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井上 多加志; 柏木 美恵子; 谷口 正樹; 大楽 正幸; 花田 磨砂也; 渡邊 和弘; 坂本 慶司
Nuclear Fusion, 46(6), p.S379 - S385, 2006/06
被引用回数:35 パーセンタイル:74.54(Physics, Fluids & Plasmas)ITERに向けた静電加速器R&Dの目的は、大電流密度の負イオンを1MeVまで加速することである。原研MeV級加速器は、従来のクランプ理論やパッシェンの法則をMV級高電圧,長真空ギャップ領域に外挿して設計されている。さらに、絶縁物表面の沿面放電防止には、大型電界緩和リングによる陰極接合点の電界低減が効果的であった。これら真空絶縁技術により、真空絶縁型加速器で1MVを8,500秒間安定保持することに成功した。バイトンOリングのSFガス透過、並びに逆流電子によるポート損傷と真空リークを止めることにより、負イオンの表面生成が持続・促進され、カマボコ型負イオン源の高出力(40kW)運転時に電流密度が飽和することなく増加した。この結果、電流密度146A/m(全負イオン電流:0.206A)の負イオンビームを836keVまで加速することに成功した(パルス幅:0.2秒)。これは、ITERで必要とされる高出力密度負イオンビーム(1MeV, 200A/m)を世界で初めて実現したものである。さらに本論文では、EGS4コードを用いて制動X線の発生量を見積もり、光電効果による放電破壊の可能性を議論する。
井上 多加志; 花田 磨砂也; 柏木 美恵子; 西尾 敏; 坂本 慶司; 佐藤 正泰; 谷口 正樹; 飛田 健次; 渡邊 和弘; 発電実証プラント検討チーム
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1291 - 1297, 2006/02
被引用回数:11 パーセンタイル:60.27(Nuclear Science & Technology)核融合発電実証プラント用中性粒子入射装置(NBI)について、発電実証炉で要求される性能を議論し、その実現への技術課題を検討した。大型プラズマの加熱・電流駆動を担う発電実証プラントのNBIは、これまで以上の高効率,高エネルギー,高信頼性・長寿命化が要求される。加速器には、高効率・高エネルギーの点から、静電加速方式の選択が現実的である。放射線環境での運転を考慮すると真空絶縁が不可欠であり、その設計ガイドラインから、ビームエネルギー1.52MeVが可能であることを示した。負イオン源の信頼性向上,長寿命化ためには、従来の大電流・高電流密度負イオン生成技術に立脚した、フィラメントレス・セシウムフリー負イオン源の開発が必要である。さらに、NBIシステムの効率を決める中性化方式については、従来のガス中性化(効率60%)では要求性能を満足し得ず、中性化効率80%以上のプラズマ中性化等が必要となる。最近、高効率・連続運転の可能な高出力半導体レーザーが製品化されており、これを用いて中性化効率90%以上を実現するレーザー中性化セルの概念を提案する。
井上 多加志; 谷口 正樹; 森下 卓俊; 大楽 正幸; 花田 磨砂也; 今井 剛*; 柏木 美恵子; 坂本 慶司; 関 孝義*; 渡邊 和弘
Nuclear Fusion, 45(8), p.790 - 795, 2005/08
原研では、1MeV加速器と大型負イオン源の開発を推進してきた。本論文はITER NBシステムの実現に向けた1ステップである、以下の開発の進展を報告する。(1)加速器開発:耐電圧性能の向上により、Hイオンの1MeV級エネルギー加速試験が進展している。1MeV, 100mA級Hイオンビームを実用規模である100A/m程度の電流密度で発生しており、イオン源の調整により、電流密度のさらなる増大が見込まれる。(2)大型負イオン源開発:既存負イオンNBシステムにおいては、負イオンの空間一様生成がNB入射性能を左右する要因となっている。本研究では、磁気フィルターから局所的に洩れ出た高速電子が負イオン源引き出し領域に生成した負イオンを破壊していることを明らかにした。本論文では、幾つかの対応策とその試験結果についても報告する。
井上 多加志; 谷口 正樹; 森下 卓俊; 大楽 正幸; 花田 磨砂也; 今井 剛*; 柏木 美恵子; 坂本 慶司; 関 孝義*; 渡邊 和弘
Nuclear Fusion, 45(8), p.790 - 795, 2005/08
被引用回数:23 パーセンタイル:59.63(Physics, Fluids & Plasmas)本論文では、ITER NBIシステムを実現するために原研が行ってきた、1MeV加速器と大型負イオン源の開発研究に関する以下の成果を報告する。(1)加速器開発:耐電圧性能の向上により、HイオンのMeV級加速試験が進展した。これまでに、1MeV, 100mA級Hイオンビームを実用規模である100A/m程度の電流密度で発生しており、イオン源運転条件の調整により、さらなる電流密度の増大が見込まれる。(2)大型負イオン源開発:従来、大面積引き出し面上に生成する負イオンの一様性が問題となっていたが、本研究により、磁気フィルターから局所的に漏れ出た高速電子が負イオン引き出し部に生成した訃音を破壊していることが明らかになった。本論文では、高速電子漏洩の遮断による一様性改善の結果を報告する。
井上 多加志
JAERI-Research 2005-006, 87 Pages, 2005/03
国際熱核融合実験炉ITER用中性粒子入射装置(NBI)実現の1ステップとして、高出力の負イオン源と加速器を開発した。負イオン表面生成の理論的検討から、体積/表面積比を最大化して高密度水素原子生成を実現するカマボコ型負イオン源を開発した。さらに、高速電子(Te1eV)による負イオン損失を抑制し、かつ水素原子の負イオン引き出し領域への拡散を妨げない「外部磁気フィルター」を装着し、低ガス圧力(0.3Pa)においてITERの要求性能を上回る高電流密度(300A/m)のHイオン生成を達成した。ITER加速器では放射線誘起伝導によりSF等の絶縁ガスを使用できないため、真空絶縁技術の開発を行った。加速器運転中の圧力は0.020.1Paとなることから、真空アーク放電並びにグロー放電の絶縁設計ガイドラインを策定し、真空絶縁加速器を設計した。加速管の沿面放電防止のために陰極接合点の電界を低減し、1MVを安定に保持できる真空絶縁のMeV級加速器を開発した。これまでに900keV, 80A/mのHイオン(全電流値:0.11A)を数百ショット加速することに成功し、ITER NBIの実現に向けた見通しを得た。